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2024.0507(Tue) 0408 |
カモメに飛ぶことを教えた猫
金塊強奪事件、石見銀山世界遺産登録、17才力士急死、高島屋申告漏れ。最近、世間のニュースについていけてません。ケータイだとほぼ見出ししかわからないのでぜひネットに繋ぎたいのですが、パソコンは学校のを使うしかない以上、大学付属図書館で新聞を読むのと同じなので。まだマイパソを修理に出して一週間も経っていないのですが、自分のパソコンがあるのとないのとではかなり違うことを実感。特に最近は提出レポートが溜まってきたのでピンチ。
それなのに、今日私が図書館に行ってやったことと言えば「カモメに飛ぶことを教えた猫」を読むこと。
ルイス・セプルベダ著 / 河野万里子訳 (白水社)
カバー絵・装画:牧かほり 装丁:丹羽朋子
*ドイツ北、ハンブルクの港の猫、黒猫のゾルバの所に重油まみれのカモメが落ちてきた。力尽きようとするカモメと、ゾルバは3つの約束をする。「これから私が産む卵を食べない」「ひなが産まれるまで、タマゴの面倒をみる」そして――、「ひなに飛ぶことを教える」

以前、演劇で見たことがあって、その時は特に面白いとも思わなかったのですが、大学の付属図書館で見かけたのでその場で読みました。ハードカバーのため一瞬躊躇したのですが、読み始めるとテンポよく進み、意外に早く読み終わりました。
童話の形式をとっているというこですが、登場キャラクターたちは生き生きとして、彼らの言葉遣いによってさらに深い話になっているなと思います。
銀色カモメのケンガーのひなを育てることになったゾルバは、ふとっちょの黒猫。ふとっちょ。でも、近所の野良猫にからかわれた時だって、ねずみのボスと対峙する時だってその威厳もプライドも実力もほれぼれしてしまうところがあります。鋭く研ぎ澄まされた爪をきらりと光らせ、お決まりの脅し文句を言うところには思わずニヤリとしてしまいます。
誇り高い猫はゾルバだけではなく、<大佐>や<秘書>、<博士>に<向かい風>など頼もしく愉快な猫たちがいます。彼らの言葉や行動は童話的で、心に残り、物語の面白味も持続します。イカの墨に誓って!百科事典には載っていない面白さです。
猫以外ではチンパンジーのマチアス、ねずみのボスなどが登場してケンガーのひな「フォルトゥナータ」にとっては悪役らしいポジションになりますが、猫たちに負けず劣らずしっかりその存在感を残していきます。

物語の中盤。異なる存在を認め、愛することについて、ゾルバが明確に語ります。
「君のおかげで僕たちは、自分とは違っている者を認め尊重し、愛する事を知ったんだ。自分と似たものを認めたり愛したりすることは簡単だけど、違っている者の場合はとても難しい。でも君と一緒に過ごす内に、僕達にはそれが出来るようになった」
なんだよ、もう聞き飽きたよ。と思う人も多いかと思います。ここにだって、具体的な方法として「一緒に過ごすこと」しか記されていません。異なる存在を認め尊重することを真剣に考えたことなど、正直ありません。
でも、こういった言葉をヒントにして、ちょっとずつちょっとずつ気にしていけたらと思います。

誇り高い猫たちは最後にある人間の力を借りて、フォルトゥナータを飛ばすことに成功します。そのある人間は詩人でした。そこにも、ヒントがあると思います。「詩」には確かに「ことばのちから」が満ちていて、それはカモメを空にかえすことだってできる。
空を飛べる力を与えることができる「ことばのちから」をもっとよく知りたいなと思う。
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2007.0628(Thu) 2341 | Comments(2) | TrackBack() | カンショウ記録

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コメント

こんな前のにコメントして発見されることはあるのか?
はたまた…?
仕組みがよくわかっとらんです。

私も!
これ中学の時に劇みてから読んだよ~
私は劇も結構(かなり)好きだったんだけど。
ドットさんが観たのがどの劇団か気になるなー。

フォルトゥナータが飛ぶとこの詩はめっちゃ好きです。
全体の静かな感じも。港町すてき!

なんかバーって見てたら守り人シリーズとか、夏と花火と私の死体とか、読んだことあるのかぶってて驚いてしまったYO!
また語りましょー(笑)
posted by ポルタ at 2008/02/12 22:57 [ コメントを修正する ]
さっそく来るとは、仕事が早いですね。
ようこそポルタ。
新しいコメントは左っかわに表示されるからわかっちゃいました。

う~ん、劇団名は忘れちゃったなあ。
でも、原作まで読ませる気になったんだから、きっといい劇団のはず!
タコの足に誓って!

おぉ、守り人シリーズも読んだことあるのか、にやにや。
ぜひぜひまた語らおうではありませんか。
posted by ドット at 2008/02/15 01:22 [ コメントを修正する ]

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